ゴッホとゴーギャン7
ゴッホの性質
相手が喜ぶなら自分の持っているものさえ与えてしまおうとするゴッホの生き方は、様々な形で人間関係をおかしくしていました。例えば次の様な話があります。
アルルに来るずっと以前、ゴッホがまだ画家になる決心をしていない頃、伝道師の見習いのような形で派遣されたベルギーにあるボリナージュ炭坑で、悲惨な生活にあえぐ炭坑夫たちの生活を眼にしたゴッホは、自分だけが安定し保証された生活を送りつつ神の言葉を述べ伝えるという欺瞞(ぎまん)に耐えられず、着ていた衣服も食料も金銭までも貧しい炭坑夫の家族に与え、病人を献身的に看病していました。しかし、監視に訪れた教会関係者から、そのあまりにもみすぼらしい身なりと生活とが伝道師としてふさわしくないという理由で追放されてしまったのです。
更にそのボリナージュから数年後、ハーグにいたゴッホはシーンという女性と知り合いました。彼女は身重の娼婦で連れ子までいたましが、ゴッホは彼女に同情し、かまわずシーンとその家族を引き取り一緒に暮らし始めたのです。そのことをきっかけに、絵を教えてもらっていた画家マウフェに絶交を言い渡され、そして常にゴッホを支えてきた弟テオも、シーンと別れるように強く言ってくるという人間関係のこじれを作ってしまいました。
ボリナージュでのことも、あるいはシーンとの同棲生活のことも、ある意味で、ゴッホの過剰な同情心が引き起こしたことなのであったのです。

他の美術ブログを見る
ゴッホとゴーギャン 前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 次へ
相手が喜ぶなら自分の持っているものさえ与えてしまおうとするゴッホの生き方は、様々な形で人間関係をおかしくしていました。例えば次の様な話があります。
アルルに来るずっと以前、ゴッホがまだ画家になる決心をしていない頃、伝道師の見習いのような形で派遣されたベルギーにあるボリナージュ炭坑で、悲惨な生活にあえぐ炭坑夫たちの生活を眼にしたゴッホは、自分だけが安定し保証された生活を送りつつ神の言葉を述べ伝えるという欺瞞(ぎまん)に耐えられず、着ていた衣服も食料も金銭までも貧しい炭坑夫の家族に与え、病人を献身的に看病していました。しかし、監視に訪れた教会関係者から、そのあまりにもみすぼらしい身なりと生活とが伝道師としてふさわしくないという理由で追放されてしまったのです。
更にそのボリナージュから数年後、ハーグにいたゴッホはシーンという女性と知り合いました。彼女は身重の娼婦で連れ子までいたましが、ゴッホは彼女に同情し、かまわずシーンとその家族を引き取り一緒に暮らし始めたのです。そのことをきっかけに、絵を教えてもらっていた画家マウフェに絶交を言い渡され、そして常にゴッホを支えてきた弟テオも、シーンと別れるように強く言ってくるという人間関係のこじれを作ってしまいました。
ボリナージュでのことも、あるいはシーンとの同棲生活のことも、ある意味で、ゴッホの過剰な同情心が引き起こしたことなのであったのです。

他の美術ブログを見る
ゴッホとゴーギャン 前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 次へ
スポンサーサイト